「第2回こうべ燦々会」セミナーレポート
「今からでも間に合う中小企業のマイナンバー対応」
主催:「こうべ燦々会」 共催:「HOO研究会」「NMO勉強会」
日時:平成27年11月17日 18:30〜20:30
場所:神戸市産業振興センター9F
<プログラム>
  講演   中小企業診断士 社会保険労務士 藤村 正弘 氏
  質疑応答
  講評等  NMO勉強会主宰 成岡 秀夫 氏
(1)大勢のお客様をお迎えして

 マイナンバー通知カードの郵送が10月から始まったが、その制度の実務的な内容については未だに分かりにくいことが多い。今回のセミナーの趣旨は、その最新情報を提供することであったが、中小企業の経営者と実務担当者をはじめ、支援機関の方など、大勢の方にお集まりいただいた。
 講師は、複数の大企業で経理財務全般を担当した後に独立された中小企業診断士・社会保険労務士の藤村先生で、その実務経験に根ざした豊富な資料と解説は、参加者の期待に十分応えるものであった。
 今回は夜間のため懇親会等の交流の場を持つことはできなかったが、参加された皆様にとっては、マイナンバー制度に関する心強い相談相手を得ることができた。

(2)講演内容:実務的な最新情報をわかりやすく

 講演の内容は、制度のスケジュールと手続きの概要説明に続いて、『「ここだけ押さえれば大丈夫」な8つのポイント』と題し、中小企業にとって必要な事前準備、事後対応の詳しい説明があった。そして、数々の書式事例や手続き一覧表、チェックリストなどが配布された。また質疑応答では、一般の書籍には記載されていない細かな質問に対し、講師が独自に取材された情報を元に丁寧な回答があった。
 アンケート調査では、回答者の全てが「大変参考になった」との感想だった。中小企業診断士の仲間も、関与先から相談を受けて困っていたが、これで助かったと喜んでいた。

 
(3)講評:マイナンバー制度の背景にあるもの

 講演後の講評では、成岡秀夫氏がマイナンバー制度の趣旨と将来の展望について話をされた。周知のとおり、諸外国では早い時期から何らかの個人番号制度を導入済みであるが、日本では、嘗て検討された「国民総背番号制度」は挫折し、その後導入された「住基カード」はあまり普及が進んでいない。しかし、成岡氏によると、今度こそ政府は本気だという。
 マイナンバー制度の意図は、資産課税と社会福祉制度の公平を保つために、個人資産を把握することにあると言われている。しかし、成岡氏のお話によると、もう一つの意図として移民対策があるそうだ。日本の少子化がこのまま進むと、将来の日本は絶対的な労働力不足になる。その対策として、多くの移民を受け入れざるを得なくなるが、その前に日本国民をしっかり把握しておくためだという。
 成岡秀夫氏は、家業の倒産と大病を乗り越えられた経験をバネに、中小企業診断士として「NMO勉強会」を主宰し、京都と大阪で合計300回の勉強会を継続中の方である。その秘訣は、このような「先を見る眼」「全体を見る眼」であることを改めて実感させられた。

(報告者:「こうべ燦々会」事務局 中島 和樹)

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