「第4回こうべ燦々会」セミナーレポート
「成功創業者たちの行動と意識」
―ひょうごのオンリーワン企業事例に学ぶ―

主催:こうべ燦々会 共催:NMO勉強会&ひょうごオンリーワン経営研究会
日時:平成29年3月14日(火)18:30〜20:30
場所:神戸市勤労会館404号
<プログラム>
  講師   中小企業診断士 千田 徹夫 氏
  (内容)
  T 多種微量生産の第二創業で言い値を護る
  U 新ビジネスモデル創業者の行動と意識
  V 県下オンリーワン、専門化等の成功例から
  W 成功した企業、創業経営者の共通点
「こうべ燦々会」第4回セミナーを迎えて

 「こうべ燦々会」のセミナーは、第4回を迎えることになった。
 今回は、金融機関勤務時代から50年にわたり中小企業診断士として活躍された千田徹夫氏から、長年のコンサルタント経験に基づくお話をしていただいた。
 今回のテーマである「成功創業者たちの行動と意識」は、講師が仕事を通じて実際に接した創業経営者の成功物語である。取り上げられた事例各社は、いずれも兵庫県で創業して成功した企業である。戦後間もない復興の時代、現在とは異なる環境の中で創業を成し遂げた経営者からは、あらためて内面の意識と行動について学ぶところが多い。
 講師は、兵庫県の「人と未来防災センター」において、阪神淡路大震災の「震災語り部」として活躍されておられるが、今日のお話にも人情味のある「語り部」の雰囲気があり、創業経営者の心の内を窺い知ることができた。

今回の事例企業

 事例企業は、手作りバネの多品種少量受注生産メーカー、松の樹脂抽出からスタートした油脂メーカー、分級機・破砕機の専門メーカー、そして、お客様の立場で研究開発に邁進する特殊潤滑油メーカーの4社である。いずれも兵庫県下発祥のオンリーワン企業であり、それぞれの創業経営者が身近に感じられた。

参加者の質問から

 参加者からは、たくさんのご質問をいただいた。まず、創業経営者に関しては、
 @社長が優れた経営能力を発揮できた要素は何だったのか、A経営者がビジョンを社員と共有するために取り組まれたこと、B経営者の意識と魅力は先天的なモノか後天的なモノか、C優れた社長の子供時代のエピソード、など。
 次に各社がおかれた創業の環境について、@戦後の物も知見もない中での創業は今とどう違うのか、A海外進出の苦労や体験、B神戸に本社を置くことのメリット、C少量微量の製品ではマーケットを広げるためにどのような工夫をしているか、等の質問があった。
 内部環境については、@技術を守る工夫をどのようにしているか、A製造業では製造部門と販売部門が対立するケースが多いが、その残念な状況に陥らないのが素晴らしい、B風通しの良い組織とは、など。
 他には、@最近は資金調達方法も多様化し金融機関の役割も低下傾向ではないか、A創業間もない若手ベンチャー企業の成功の秘訣は何か、等の現在の創業に関する質問も多かった。

セミナーを終えて

 セミナー終了後のアンケートでは、参加者の大半の方から、長文の質問や意見に加えて、「本日は貴重なお話を聞かせていただき有り難うございました。」とのお言葉をいただいた。
 講師が語る内容のどの部分が参加者の心に響いたかは、それぞれの人のレセプターによっていろいろであると思うが、共通して言えることは、各事例企業の創業経営者が持っている「心」が伝わったことだろう。たとえば、多品種少量受注生産で、ITを駆使して受注データの保存や顧客管理などの効率化を図ることは多くの企業で行われているが、「言い値を守る」ということは、その経営者特有の心(強い信念)がなければ実践できない。
 講師は創業経営者の社員に対する「愛」につい語っておられるが、この「言い値を守る」ということは、社員が作った製品を大切にしていること、つまり、社員の仕事を貴重なものと考えて安売りしないことである。
 今回のセミナーには、そのような奥深い内容があった。



(報告者:「こうべ燦々会」事務局 中島 和樹)

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